ちゃおがやってきたのは、愛犬ケビンがなくなってちょうど2年がたった頃。
ケビンはボクサー犬で、私たちの家族の自慢だった。
優しくて、ちょっと見た目は怖いけれど茶目っ気たっぷりで、言うことも良くわかって。
夜中にこっそり、誰にも言えないことを話したものだ。
私の思春期は彼がいてくれたおかげで、健やかだったのだと思う。
うん。今でもそうかな?彼が見てるって思うと正しくなる。そういう存在。
ちゃおはある日突然、うちの庭に居座った。
よっぽど気に入ったのか、外で怖いことがあったのか
おなかが空いて鳴き声がちっちゃくなっていっても、動こうとはしなかった。
母はそんな健気な子猫を見かねて家で飼うことに。
私は運命的なものを感じている。彼女は彼の生まれ変わり。
その4ヵ月後、私は横浜で新しい生活を始めた。
そして、彼女はかつて私の部屋だった場所で今日も身体を丸めて眠っている。